自由診療とは

自由診療とは、健康保険が適用されない医療行為のことを指し、患者が治療費を全額自己負担する形態の診療です。矯正歯科においては、一般的な歯列矯正(成人矯正・小児矯正)は原則として自由診療となり、健康保険が適用されません。ただし、一部の特殊なケース(顎変形症や口唇口蓋裂など)では保険適用が認められる場合もあります

本ページでは、自由診療の概要、保険診療との違い、矯正治療が自由診療となる理由、自由診療のメリット・デメリット、費用負担の軽減方法について詳しく解説します。

自由診療とは?保険診療との違い

自由診療の定義

自由診療(自費診療)とは、公的医療保険が適用されず、患者が全額自己負担で治療費を支払う診療を指します。医療機関ごとに治療費を自由に設定できるため、治療の質や使用する材料、技術、医療機器の選択が可能となります。

保険診療との違い

項目 自由診療 保険診療
治療費の負担 患者が全額負担 一部自己負担(通常3割)
治療の選択肢 最新の技術・材料・高度な治療が可能 厚生労働省の基準内で限定的
審美性 審美性・機能性を追求可能 最低限の機能回復が目的
矯正治療の適用 ほぼ全ての矯正治療 特定の疾患のみ適用
使用できる装置 幅広い選択肢(マウスピース矯正・裏側矯正など) 限定された装置のみ

なぜ矯正治療は自由診療なのか?

1. 矯正治療は「病気の治療」ではなく「咬合の改善」が目的

健康保険が適用されるのは、病気の治療が目的の場合に限られます。しかし、矯正治療は咬合の改善や審美的な要素が強く、病気の治療とはみなされないため、自由診療となります。

2. 個々の症例に応じたオーダーメイド治療が必要

矯正治療は、患者ごとに異なる不正咬合の状態や骨格に合わせて治療計画を立案する必要があるため、標準化が難しく、保険診療の枠組みでは対応しにくい分野とされています。

3. 高度な技術・装置の選択が可能

保険診療では、使用できる装置や治療法が限られます。一方、自由診療では、最新の技術や高品質な材料を用いた矯正治療が可能となり、患者のニーズに応じた選択肢を提供できます。

自由診療のメリット・デメリット

メリット

治療の選択肢が広い

  • ワイヤー矯正(表側)、マウスピース矯正(インビザラインなど)、部分矯正など多様な治療法が選べる。

最新の医療技術を活用できる

  • iTero(口腔内スキャナー)、AIを活用した歯の移動シミュレーション、3Dプリンティング技術を用いた精密矯正など、最先端の治療が可能。

審美性が高い

  • 透明なマウスピース矯正など、目立たない矯正が可能。

患者のニーズに応じたオーダーメイド治療

  • 歯並びの細かい調整、仕上がりの希望に応じた治療計画を立案可能。

デメリット

治療費が高額になる

  • 保険適用外のため、治療費は全額自己負担となる。

医療機関によって費用に差がある

  • 矯正治療の費用は、医院ごとの技術レベルや設備、使用する材料によって異なるため、事前にしっかりと確認が必要。

長期的な管理が必要

  • 治療後の保定期間が必要であり、適切にリテーナーを使用しなければ後戻りのリスクがある。

自由診療の費用負担を軽減する方法

自由診療は高額になりやすいですが、以下の方法を活用することで負担を軽減できます。

1. 医療費控除を活用する

矯正治療は「美容目的」ではなく「咬合の改善」が主目的の場合、医療費控除の対象となります。年間10万円以上の医療費を支払った場合、確定申告を行うことで所得税の一部が還付される可能性があります。

2. デンタルローンを利用する

矯正治療は一括払いの負担が大きいため、分割払いが可能なデンタルローンを活用すると、月々の支払い負担を軽減できます。

3. 医療保険の特約を確認する

一部の民間医療保険では、特定の条件を満たせば矯正治療費の一部が補助される場合があるため、契約内容を確認することをおすすめします。

まとめ

自由診療は、保険診療と異なり、高度な技術・最新の医療機器を活用した、患者個々に最適化された治療が可能です。矯正歯科においては、ほとんどの治療が自由診療となりますが、審美性や治療の精度、快適性を求める場合には自由診療の選択が有効です。

しかし、自由診療の費用負担が大きいことも事実であり、医療費控除やデンタルローンなどを活用しながら、計画的に治療を進めることが重要です。

矯正治療を検討されている方は、自身の症例に合った治療法を選択し、専門の矯正歯科医に相談することをおすすめします