歯列矯正の種類
歯列矯正には、患者の不正咬合の種類や治療目的に応じてさまざまな方法があります。矯正治療を選択する際には、歯並びの状態、治療期間、装置の見た目、治療費用、快適性などを考慮する必要があります。本ページでは、代表的な歯列矯正の種類について詳しく解説します。
固定式矯正装置(ブラケット矯正)
表側矯正(ラビアル矯正)
表側矯正は、歯の表面にブラケットを装着し、ワイヤーで歯を移動させる伝統的な矯正方法です。
特徴
- 適応範囲が広く、ほぼすべての不正咬合に対応可能
- 他の矯正方法と比べて治療精度が高い
- 装置が目立ちやすい
ブラケットの種類
- メタルブラケット:金属製で耐久性が高いが目立ちやすい
- セラミックブラケット:歯の色に近く目立ちにくい
- サファイアブラケット:透明度が高く審美性に優れる
裏側矯正(リンガル矯正)
裏側矯正は、歯の裏側(舌側)にブラケットを装着する矯正方法で、矯正装置が外から見えないのが特徴です。
特徴
- 矯正装置が見えないため審美性が高い
- 舌に装置が当たるため、慣れるまで違和感がある
- 表側矯正よりも治療期間が長くなる傾向
主な種類
- フルリンガル矯正:上下の歯の裏側に装置を装着する
- ハーフリンガル矯正:上顎は裏側、下顎は表側に装置をつける
サブリンガル矯正(ハーフリンガル矯正)
サブリンガル矯正は、上顎の歯には裏側矯正(リンガル)、下顎の歯には表側矯正(ラビアル)を採用する方法です。
特徴
- 上顎は見えにくく、下顎は違和感が少ない
- 費用がフルリンガル矯正より安価
- 装置の管理がやや複雑
取り外し可能な矯正装置(マウスピース矯正)
インビザライン(マウスピース矯正)
透明なアライナー(マウスピース)を使用する矯正治療法で、取り外しが可能で目立ちにくいのが特徴です。
特徴
- 透明で目立ちにくい
- 食事や歯磨き時に取り外せるため衛生的
- 適応できる症例に限りがある
- 装着時間(1日20時間以上)を守らないと効果が出にくい
部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)
特定の歯だけを矯正する方法で、全顎矯正と比較して治療期間が短く、費用も抑えられます。
適応症例
- 軽度の叢生(ガタガタの歯並び)
- すきっ歯(空隙歯列)
- 軽度の咬合異常
特徴
- 治療期間が短い(3ヶ月〜1年程度)
- コストが低い
- 矯正後の後戻りリスクがある
特殊な矯正方法
アンカースクリュー矯正(TAD:Temporary Anchorage Device)
歯槽骨に矯正用スクリューを埋め込み、それを固定源として歯を動かす方法。
特徴
- 抜歯矯正の必要性を減らせる
- 矯正力を効率的に伝えられるため治療期間が短縮可能
- 施術時に局所麻酔が必要
矯正装置の比較表
矯正方法 | 審美性 | 治療期間 | 適応症例 | 取り外し |
---|---|---|---|---|
表側矯正 | △ | 1.5〜3年 | ほぼすべて | × |
裏側矯正 | ◎ | 2〜3.5年 | ほぼすべて | × |
マウスピース矯正 | ◎ | 1〜3年 | 軽度〜中等度 | ○ |
部分矯正 | ○ | 3ヶ月〜1年 | 軽度 | × |
アンカースクリュー矯正 | △ | 1〜3年 | 難症例にも対応 | × |
まとめ
矯正治療には、表側矯正・裏側矯正・マウスピース矯正など、さまざまな方法があります。それぞれの治療法にはメリット・デメリットがあり、患者の不正咬合の状態やライフスタイルに応じて適切な方法を選択することが重要です。
矯正治療を検討している方は、矯正歯科医と十分に相談し、自分に合った治療法を選択することをおすすめします。